オルムで出会う済州の木の物語1

20160926 094727

企画記事ーオルムで出会う済州の木の物語1
ヘッドライン:人を3回驚かすクサギ


 

残暑がようやく衰え、朝夕めっきり涼しくなったこの頃、オルム(側火山の済州方言)でも涼しい風が吹いている。済州島には約360のオルムがあり、韓国で一番最初に春になり、最後に紅葉する。面積は小さいが、韓国で最も高い楯状火山の漢拏山が真ん中にそびえる済州島は、韓国の南に位置する都市であり、貴重な島でもある。

 

 

この季節、花がとても少なくなる時期だというのに、オルムを登っているとどこからか気持ちいい花の香りがする。何の花だろう。それは、クサギの花の最後の香りだ。花は散りかけ、静かに熟していく果実を抱えた赤い萼がしっかりと唇を閉じている。

クサギは、人を3回驚かすと言われている。最初は、鼻を近づけて匂いを嗅ぐ人に葉っぱを擦って嗅がせるとびっくりする。肉が焦げるような臭い匂いがするからだ。だから「クサギ」と呼ばれ、子供の頃食べたビタミン剤「ウォンギソ」の香りだと懐かしむ人もいるが、私はどうしても慣れない。

 

 

次は、花が咲く姿を見て驚く。最初に咲いたものを花びらかと思って見ているとそれは萼で、その真ん中から小さく丸い玉(花びら)がすくすくと棍棒のように突き出る。「あっ、花が二層に重なっているのかな」と不思議に思うのも束の間、玉の中から雌しべの柱頭が下へと長く伸びてくる。4本の雄しべは上に向かって伸び、花びらがパァッと風車のように五つに分かれて咲くのはマジックショーのようだ。
4本の華麗な雄しべと1本の雌しべが長く首を伸ばしているその堂々とした姿!ここでまた一つ、クサギの知恵に驚かされる。自家受粉を避けるための戦略として、雄しべの花粉がなくなった後に雌しべの柱頭が開いて受粉が可能になるのだ。より健康な種を残そうとする知恵のある木だと認めるしかない。

 

 

最後は、熟した果実の姿だ。静かに唇を閉じた萼の中で果実を育てたクサギは、秋の青い空の下に水色の果実を披露する。そして、日に日に自然の気をもらい完熟すると、紺青色の果実となる。日差しに輝く1カラットの宝石!ネックレスやイヤリングにしても似合うその美しさに、誰もが心を奪われるに違いない。

クサギは、シソ科クサギ属に分類される。韓国ではゲナム、クリッデナム、クリンネナムとも呼ばれ、生活の中でよく使われている。小さい時にはおかずにしてよく食べていたし、漢方医学では「臭梧桐」と言い、血圧や痛み止め、鎮静作用がある。また眩しい秋の空のような藍の色素であるトリコトミンを含み、天然染料としても利用される。そして媒染剤によって薄い水色や柔らかい青緑、濃い青色へと変わる。このような理由で、人を5回も驚かすと言われている。

 

クサギの花言葉は、韓国では「綺麗な恋」であり、切ない恋物語が伝えられている。シンデレラと王子のように身分の差があった両班(貴族)の娘と白丁(朝鮮時代の最も低い身分)の息子の恋物語だ。彼らの物語に耳を傾けながら、済州の秋の森で1カラットの宝石が潜んでいるクサギを探してみよう。

 

記事の作成日:2016年9月30日
カルチャーリポーター:オ・ヨンスク