「セレンディピティ済州」のイ・グァンソク代表

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カルチャーデザイナー・インタビュー―「セレンディピティ済州」イ・グァンソク代表
記事ヘットライン:済州の新しい旅行文化をデザインする


 

「最後には、愛する人と旅のような人生を送ること。それがまさに私が望む人生で、目標です」。インタビューが終わる頃、彼の話にしばらく呆然とした。こんなに簡単にはっきり言えるなんて。それに、自分の価値観に合う仕事を見つけて実践しながら、新しい文化をデザインするなんて、本当に素晴らしいじゃないか。もしかしたら、文化を設計するというのは、自分の中で設計図を綿密に検索し、実行していくことかもしれない。誰もが夢見る旅の目的地、済州。ここ済州で特別かつ新しい旅行文化を提示しているのが、「セレンディピティ済州」のイ・グァンソク代表だ。

イ・グァンソク代表がつくるセレンディピティ済州は、旅行と「ネットワーキング」が結合した「思わぬ出会いができる」旅行プログラムである。イ代表は旅のときめきと期待に注目した。「誰にでも旅先ではオープンマインドになるでしょう。そんな柔軟な状態で、健全で発展的なネットワーキングをしたらどうかと思いました」。セレンディピティ済州のプログラムは、従来の観光地の紹介にとどまる旅行プログラムから脱し、旅先で会った人々が自由にネットワーキングできる気軽なパーティーと言える。カカオメイカーズ(ソーシャルインパクト事業者)のチャンネルを通して行われた先回の出会いは、ホストのイ代表が掲載したプログラムの説明を参加者が見て、申し込み→購入→参加という方法で行われた。ネットワーキングという言葉の意味が包括的であるため、参加者の募集から現場のプログラム運営までホストの役割とメッセージが重要だった。

 

 

初めは、知らない人同志で皆よそよそしかったと言う。しかし、ホストのイ代表のスムーズな進行で、皆「なぜ」この集まりが始まり、この「思わぬ出会い」の価値は何かを話しているうちに、打ち解けた。このように出会いの初めで雰囲気ができれば、後は問題なし。済州で今日初めて会ったゲストたちが、お互い自由に個人レベルのネットワーキングを続けていく。イ代表は今後このプログラムに芸術と関連したコンテンツを組み合わせ、有意義なネットワーキングができるようにする予定だ。旅先の済州で一緒に美術作品を観覧し、済州の芸術家と交流するなど、より密度の高い持続可能な出会いに発展させたいと言う。

なぜ彼はこの「ネットワーキング」に集中するようになったのか。イ代表は6年前、スタートアップを始めた。ミュージアム空間とコンテンツにデジタル技術を適用し、新しい観覧経験を提供する「タンゴマイク」を創業した。また、ともに展示を観覧し、食事しながら芸術について話し合う「美術食堂」というミュージアムツアープログラムも運営している。スタートアップをしてみると、会社に勤めるのとは違って、荒野に一人置き去りにされたようだったと言うイ代表。本能的に人々を訪ね、人から情報や助けを得て成長しながら、ネットワーキングの必要性を痛感した。それが今のネットワーキングパーティー「セレンディピティ済州」の始まりだった。「ネットワーキングには人間的な交流と情報交流の側面があります。特に情報交流の側面から考えると、好みとビジョンが類似する人が与える『純度の高い情報』は、行動を誘発するとても重要な要素です」。個人は一つの巨大な情報アーカイビングの主体であり、同じ目的を持つ「グルーピング(grouping)」はシナジー効果をもたらす強力な手段だ、という話にうなずいた。「ヒーリング」と「グルメツアー」というキーワードで定義された従来の済州の旅行に、ネットワーキングを組み合わせ、新しい旅行のパラダイムを提示するセレンディピティ済州。今後、済州が旅行のコンテンツと文化を発展させるのに、参考にすべき要素だと思われる。

 

 

旅行、コミュニケーション、気軽なパーティーのセレンディピティ済州にも課題はある。韓国にはまだパーティーの文化が定着しておらず、その認識の改善が必要なのだ。「パーティー」から連想されるよそよそしさや不便さを脱皮し、欧米と韓国のパーティー文化のギャップを埋めること、そして韓国だけの「ネットワーキング文化」をつくり出すこと、それがセレンディピティ済州の課題である、と言うイ代表の言葉には解決への強い意志が感じられた。

済州に来て5か月。自分だけの「思わぬ旅」を続けるイ・グァンソク代表。彼に済州での暮らしについて尋ねると、とても楽しいという答えが返ってきた。すばらしい自然環境の中で、健康でシンプルな生活ができてとても楽しいと語る。また、セレンディピティ済州の運営についても、生活しながら経験し、問題を一つずつ解決していくことが楽しく、絶えず好きなことを考え、実践しつづけたいと言うイ代表。これからも旅のような人生を夢見、自分が好きで得意なこと、また新しいインスピレーションを得られることを探してチャレンジしたいと言う。彼のように自分を振り返り、その中で見つけた自分の文化を世界に発信していくこと、それがまさにカルチャーデザイナーが追求すべき人生なのではないか。

 

記事作成日:2016年11月18日(取材日:2016年11月)
カルチャーリポーター:オ・スジン