中国代案学校「先鋒学校」校長 刘晓伟インタビュー 幸福・自由を見つけた学生たち…“これが真の教育”

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刘晓伟(Liu Xiaowei)さんは成都科学技術大学(前四川大学)で9年間英語を教えていた。その後アメリカに留学して、バージニア大学で教育学修士学位を取得して帰国し、1998年に「GoodCharacter、Critical Thinking、Life-long Learning、Communication and Collaboration」という教育理念を実践するために学校を創立する。友人たちにその子弟の教育を依頼されて始めたのだが、やがて、その教育効果が 評判になり、次第に学生が増えるようになる。その中には通っていた学校を退学して来る学生までいた。その後、2006年に彼は再び成都に戻って家で塾を開いていたが、2012年にはついに学校(Pioneer Education school )を設立するに至る。

どのような学校なのかご紹介いただけますか。

私たちの学校は代案学校なのです。現在約50名の学生と10名の教師がいます。私立で、一般の学校との違いは、学生の能力育成を最も大切にしていることです。“GoodCharacter、Critical Thinking、Life-long Learning、Communication and Collaboration”が学習目標であり、教育理念でもあり、追求する価値観は安全、自由、責任、包容です。

設立の動機は何でしたか。

きっかけは、親しい友人たちが10代の子どもたちを連れてきて、子どもたちの学習における様々な問題についてアドバイスしてほしいと依頼されたことでした。その後、小さな塾で毎年約20〜30人の子供に勉強を教えていました。そして子供や保護者と話をするうちに、学生の問題は保護者、学校、社会の教育環境がもたらしているということに気づくようになりました。特に、親と先生の教育哲学や教育方法に問題が多くあります。一般の学校では、学生の個性や才能を無視して、画一的な教育を行っています。そこで私は、「Good Character、Critical Thinking、Life-long Learning、Communication and Collaboration」を教育目標に掲げて、学校を設立することになりました。学生に新しい教育環境を提供したかったのです。学生が勉強したい分野、一緒に勉強したい人とどのように勉強したいのか、それらすべてを自ら選択できるようにしました。ここでは、生徒の個性を十分に尊重しています。

一般的な学校との違いは何ですか?

カリキュラムが一般の学校と全く異なります。中国の一般の学校は、同じ学年の生徒であれば、同じ時間に同じ場所で、同じ方法で同じ内容の教育を授け、同じ形式の試験を受けることになっています。このように画一的な教育を行っているのですが、ここのカリキュラムは、学生の興味に応じて作成されます。学生自身が授業を行う場合もあります。一般の学校では、先生が一方的に教えますが、本校では主にプログラム式、討論式の授業が行われているのです。

また、趣味活動や現場学習も重要な授業の一つであり、一般の学校にはない東アジアの歴史、娯楽・芸術、日本の弓道、交換日記のような授業もあります。このように、カリキュラムが実に多様です。その他にも、自己が主導する学習をも奨励しており、学生自身が天文、地質学、鳥類、感情管理、流行のスタイルを研究したりもします。

普段、学生だちとどのような話をしておられますか。

当校は完全に学生を中心に運営されています。何を、どのように、誰と学びたいのか、すべてを学生自らが決めているので、学生との対話のテーマは無限です。カリキュラムの選択から学校の規則の制定や宗教、科学、社会問題、エンターテイメント、日本の漫画、さらには「私はどこから来てどこへ行くのか」といった哲学的トピックや家の問題、恋愛などプライバシーの問題まで実に多様です。このようなトピックが、教師と生徒とが普段に議論している内容なのです。私たちは、何よりも先生と生徒との間で、個人的な成長に関連した話題を共有することを大切にしています。ですから「世界と私」、「話し合い」の二つの科目は学生に最も人気があります。

先生ご自身の、そして学校の教育理念は子供たちにどんな影響を与えていると思いますか?

学生たちが自らを知り、独立的思考をする人に成長していけるように、手助けしていることでしょうか。私たちは学生を尊重し、自由を与え、学生自らが選択して決定するようにしています。当然、それに相応する責任を負います。

これまで学校を運営しながら、最も苦労したことは何でしょうか?

最も大変なのは、我々の教育理念は現状にあっては、相当に前衛的なので、それに共感できない方が多いことです。本校では、一般の学校に比べて学生に多くの自由が与えられるので、中国の「Summerhill school」とも呼ばれます。そこで、いまだに多くの保護者、そして社会の認識は、学生に自由を与えすぎると学生が怠慢になると考えています。できるだけ学生たちを統制することを望み、学生たちがある程度のストレスの下で勉強することを願っているのです。

校長としてやりがいを感じるときは、どういった瞬間なのでしょうか?

私は本校の先生と生徒が一緒に食事したり、勉強したり、生活しながら、彼らが共に成長していく姿を見るときが、最も幸せです。このような雰囲気は、生徒と教師の間に平等な関係を形成し、学生の安全が保障され、より多くの教育の機会が生まれ、親密な学習環境が醸成されるなど、多くの利点があります。

印象に残っている学生がいましたらお聞かせ願えませんか。

その種の学生が実にたくさんいましたが、最近で言いますと、16歳のある女子学生のことが思い浮かびます。彼女は、いわゆる問題生徒が通う当校で学生をどのように教育しているのかに好奇心を持って、こっそりと学校に入り、学生たちのの学校生活を詳細に観察し、それを文章にして発表しました。その結果、多くの人々が私たちが取り組んでいる社会問題に関心を持つようになりました。私たちは、多くの学生が両親が考えているように幼くて無知などではないことに気づきました。実際に多くの学生の考えには、深みもあって、それは大人の想像を超えています。本校を卒業した多くの学生は海外に出て勉強を続けています。そしてその多くが卒業後中国に戻って起業します。さらに、仕事をする傍らで本校の教師もするといった卒業生もいるのです。

先生の人生の目標はどのようなものなのでしょうか?

より多くの人々が自らの学習を通じて成長していき、自己を知り、幸せに生きていけるように手助けすることです。

貴校の今後の方向性についてどのようにお考えでしょうか?

本校が、1歳から100歳までのすべての人々に開かれた学習空間へと成長していくことを願っています。ここではすべての人が先生であり、同時に学生なのです。

最後に、この場で何か人々に伝えたいことはありますか?

社会を変えることは決して容易なことではありません。しかし自分が変わり始めたら、周辺も変わり始めます。自分が少しずつ変化し始めると、この世の中も少しずつ良くなっていくはずです。自分自身から、そして今から始めましょう。