人の息遣いがにじみ出る、みんなの芸術

호랑이

子供たちに「大きくなったら何になりたいの?」と質問した。「医師」「警察」、「大統領」と続く中、一人の子が言った。「私は白人になりたいわ」子供たちの肌の色は黒、アフリカ大陸の北西部に位置するブルキナファソでのことである。
そしてこの言葉はひとりの芸術家の人生の方向を変える契機となった。その芸術家はイ・ファ(Yi Hwa)。幼年期をフランスで過ごし、高校は韓国で通った。美術の勉強のため再びフランスに戻った彼女は、ボランティアで訪れたブルキナファソの村でのこの出来事で、人命を救えるアーティストになろうと決心する。去る25日までワールドカルチャーオープンコリア主管で開かれた個展「柔らかい息遣いのように…(Like a Soft Breathe…)」の作家イ・ファさんにインタビューした。


こんにちは。今回の展示にブルキナファソでの記憶と関連する作品があるとお聞きしましたが。

はい。展示場の前面に掛かった赤と緑、二つの面と星、黄色の唇で構成された画をご覧になったでしょうか。その作品がブルキナファソの国旗に、白人になりたいという子供の言葉をモチーフとして形象化した作品です。タイトルも「白人になりたい」です。

イ・ファさんにとって、ブルキナファソは様々な面で重要な国のようですね。

そうですね。最初は絵から始めながらついには演劇まで活動の範囲を広げるきっかけを与えられたところですからね。そこでのボランティア活動が、村々を回って、子供たちに絵を教えたり、芝居を一緒にやってみたりすることでした。実は、高校までは医者になりたかったのです。その当時、ソマリアでは飢餓でたくさんの人々が死んでいく厳しい状況でした。そんなある日、ある先生が「君には絵の才能があるから、描いてみないかい」とおっしゃるのです。でも私は、人の命を救える仕事をしたいと言うと、先生は絵でも、芸術でも人命を救えると。その言葉がブルキナファソで蘇りました。それができるかも知れないと思うようになった国ですもの。

その後の活動についてもお話しいただけませんか

アフリカに学校を建てたいと考えました。芸術を教育し、そこで学んだ学生たちが私と同じように、世の中のために働く大人になるように育っていく学校です。そのためにはお金を貯めなければならない。幸いなことに、私の考えに賛同して芸術活動をしてくれる友人たちがいたので、DADAというグループを結成しました。各自が自分のやりたいことをしながらも、プロジェクトがあれば、そのために必要な人たちが集まって、仕事をするんです。その初めての公演が「悪魔の手紙」でした。韓国でも2012年12月に三一路倉庫劇場でやりました。展示としては、フランス招待展、中国文化部の招請で北京国際フェスティバル、ユネスコ主管の北京デザインウィークに参加しました。フランスでは個展も開きました。このように演劇の公演や、各自の展示などで募金をしています。収益の10分の1は、アフリカの芸術学校のために使われます。

DADAというのは1900年初期の芸術思潮だったあのダダのことでしょうか。

(笑)違います。DADAは「芸術の力は、創作の[多]様性を共有し、[みんな(韓国のDA)
]で美しい世界を作ることができる」という、私たちのモットーに由来しています。芸術の力は重要であり、多くの人々を助けることができ、みんなが共に生きることができると思っています。だから常に参加型の展示を行っています。観客も芸術家になれる。芸術は誰だってできる。だから観客も一緒に参加できるように誘導をします。DADAという名称には私たちの考えがすべて含まれているのです。

その話を聞いて改めて彼女の名刺をみると、「ART and Education are our Hope」という英語が目に入った。この人の作家の作品活動の根拠が圧縮された言葉ではないかと改めて考えた。

今回の展示についての話をお聞きしたいのですが。リネン、韓国では麻と呼ばれる素材を一貫して使っておられるようですが、何か特別な理由でもあるんでしょうか。

麻は人類が最初に着た服の素材です。当然ながら天然素材なんですね。そして私の展示タイトルが「柔らかい息遣いのように」でしょう。人の息遣いを繋げていくオブジェに興味がありました。資料を探して見たら、麻は人が初めて身に付けた生地だったんですね。そこで麻に人の息遣いを吹き込んでみよう、麻に人の話を盛り込んで表現してみようという試みを始めました。麻は種類ごとに、布目ごとにすべて異なります。人の息遣いも各人各様です。麻は粗いのもあれば、柔らかいのもあります。それはまさに人生や人間関係と同じです。絵をご覧になれば分かっていただけるはずです。それぞれの麻ごとにそこに込められた話が異なっています。人種差別、戦争、社会問題、家族、自閉症児の話など、実に多様な物語がそこに込められているのです。

作品の制作にあたって、何か大変なことはありましたか。

麻は扱いにくい素材です。色がよく染みないんです。思い通りの色が出てくるには、何度も染料を塗らなければなりません。乾燥させて染めて、また乾燥させて染めるといった過程を何度も繰り返します。それに一度に描かなければなりません。油絵などとは違って、途中で修正ができないのです。だから麻に慣れるまで練習に長い時間を要しました。

限定版という意味の「リミテッドエディション」と書かれていますが、作品数を限定して製作されたという意味なんでしょうか。

いいえ、そうじゃないんです。限定版とは、作品のことではなく、人々のことなんです。人は、それぞれ個別で、それ自体で世界で固有な存在です。そういう意味で使っているんです。私は服も作りますが、その服を着る人はリミテッドエディションになるのです。赤ちゃんシリーズもありますが。そこにはまさにリミテッドエディションと書かれています。ママとパパのエディションというわけです!

イ・ファさんにインタビューしながら感じたのは、彼女の関心がひたすら人に集中していることだった。その作品は、人々の物語が投影された媒体であるという事実。

服の物語をしてみましょうか。展示された服は、ご自身の作品ですよね。ディスプレイに使用されたハンガーは木の枝が使われているそうですが。

私が自分でデザインして作りました。服の素材も麻を使用しました。木の枝をハンガーに使用した理由は、自然の素材だからです。ある種の一貫性を維持するための装置として使用しました。

今回のインタビューの最後に、アフリカの子供たちのために学校を建てる目標など、イ・ファさんの望みをもっと早く実現するためには、先にスターになったほうが手っ取り早いのではないかという質問をしてみた。有名ギャラリーに所属しているとか、有名な企業から後援を受けるといった方式などがあるはずなのにと。それに対して大変シンプルで断固とした答えが返ってきた。

「困難な道を容易にすり抜けて行くなんてことは望んでいません。できるだけ多くの人が参加して、それが各人の力を合わせて、願望を実現したいのです。とりあえずは、10年を単位として考えています」